採血の取り直しってなぜ起きるのかを簡単に説明します!

採血中のイラスト

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みかん

こんにちは。ナース歴もうすぐ20年のみかんです。

採血って痛みを伴う検査なので苦手な人は多いです。

1度ならまだしも何度も採血されるとなると尚更イヤになりますよね。

でも『採血の取り直し』って時々起こるんです。

せっかく検査に出したものの正確に検査ができないっていうことで取り直しの依頼があったりするわけです。

今回は採血の取り直しの原因は何が考えられるのか、聞きたくても聞けない疑問をわかりやすく説明します。

みかん

わかりやすく説明するよ。

採血量の不足による採血取り直し

まずは採血の量についてのお話から。

採血はスピッツという容器に入れられてデータを測定します。

採血のスピッツがわからない方は先にこちらの記事を読んでみてくださいね。

【採血で取られる量のひみつ】『そんなに血ぃ抜く!?』って思われる2つの理由!

このスピッツには入れる血液量が決まっているんですが、多少融通の利くモノからピッタリ入れないといけないものまで様々です。

これは検査で調べたい項目によってスピッツの種類が決まるので、検査の数ではなく、検査項目によって左右されるんです。

どの採血でもそうですが、規定量の血液が取れれば問題なく検査できます。

ただ、どうしても規定量の採血が難しかったりすることがあるんですよね。

規定量は12mlだけど8mlしか取れなかった…とかね。

みかん

そんな時は規定量が必要な採血と、ちょっと少なくても検査ができる採血があるので血液の量をうまく配分したりすることがあります。

※注射器で採血を行った場合のみ配分がコントロールできるので、真空管という直接スピッツに血液を取り込む方法では配分できません。

この、検査に最小限必要な量がなかった場合に採血の取り直しが起きます。

一度検査してみないとわからないこともあるので「取り直しになるかもしれないけど…」なんていうお声が検査室から先にかかったりする場合もあったりします。

みかん

ナースもだいたいの量は把握しているから『量』だけの問題で後から採血の取り直しを言われることは少ないけどね。

溶血による採血取り直し

次に溶血という現象が起こると採血の取り直しをする場合があります。

溶血していても検査はできますが、採血項目によっては検査値に影響がでるからです。

まずは言葉の説明から。

溶血とは

血液の中の赤血球の寿命は約120日と言われています。

溶血とは赤血球の寿命がくる前に細胞膜が何らかの原因で破壊されてしまって、細胞内に含まれる赤色の色素であるヘモグロビンが漏れ出している状態をいいます。

赤血球から漏出したヘモグロビンによって、本来透明なところが赤くなりそれが検査値に影響したりします。

採血で溶血する原因

溶血が生じる原因は様々ですが例を上げておきます。

・細い血管で採血を行った。
・細い針で採血を行った(23G以下)。
・採血の際に強い圧で引いた。
・真空採血管の際に規定量の採血ができなかったか途中で中断した。
・スピッツに血液を入れる際に強い圧をかけた。
・採血スピッツの転倒混和(スピッツをゆっくり動かしスピッツ内の薬剤と血液をまぜること)の際に泡を立てた。
・採血に時間がかかりすぎた。

上記のようないろんな理由、そして複数の理由によって溶血が起きることがあります。

採血を行う人は細心の注意を払いながら確実に検査ができるよう採血するんですが、時々起こってしまうことがあるのが現状です。

溶血が検査に与える影響

溶血が起こると様々な血液データーに影響が起こります。

カリウムや鉄、葉酸、また尿酸やビリルビンなど複数の検査が高値になったり低値になったりしてしまいます。

ただし溶血は採血の手技の問題だけではなく病気によって起こることもあるので、総合的に判断する必要があります。

凝固による採血取り直し

つぎは凝固のお話です。

凝固とは

血液が固まることを凝固と呼びます。

採血での凝固は、抗凝固剤で血液を固まらないようにする必要がある採血で血液が固まってしまったことを言います。

採血で凝固が起こる原因

・細い血管や細い針での採血で血小板が活性化して凝固した。
・抗凝固剤が使用されているスピッツに血液を入れる際、混和不足だった。

血液は空気に触れると固まります。

みかん

ケガをしたときにカサブタになるよね。

凝固検査のための採血スピッツにはクエン酸ナトリウムという血液を凝固させないための液体が入っているんですが、採血をした際に血液と『混ぜる』ことがうまくできていないと凝固してしまいます。

採血に時間をかけすぎないよう、また的確に採血をしていくことが大事になりますが、やはり溶血と同様に時々起きてしまうことがあります。

凝固が検査に与える影響

血液が固まることを『凝固』、血液のかたまり(血栓)を溶かすことを『線溶』と言って、この二つがバランスを取りながら体内で血液をスムーズの流しています。

この体の中の凝固系の状態を見ているのが、『凝固』と呼ばれるスピッツで採血された検査になります。

みかん

凝固が問題になるのはこの凝固系の検査だけだよ。

凝固検査で調べているのは止血に関することなので、出血傾向または血栓傾向の判断に影響がでます。

また採血の取り直しとは違いますが、凝固スピッツの問題としてクエン酸ナトリウムと血液の比率が1:9と決まっているので血液の量が少なすぎたりすると比率が崩れ検査データに影響します。

凝固も手技だけの問題ではなく、病気によっても起こることがあります。

まとめ

時々起きてしまう採血取り直し…。

病気によるもの・手技によるもの原因は様々ですが、取り直しの多くは採血量不足・溶血・凝固の3つによるものです。

採血のデータにも溶血や凝固という文字が印字されていたりすることがあるかもしれません。

採血の取り直しを依頼されて疑問に思ったときにこの記事が役立てばと思います。

みかん

最後まで読んでくれてありがとうございます。
みかんでした。

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